Special 「シリーズ恋文vol.13」中村雅俊 インタビュー

「シリーズ恋文」で初めての朗読劇に挑戦。

「きみまち恋文全国コンテスト」受賞作を基にしたアーラ・オリジナル朗読劇「シリーズ恋文」。13回目となる今年は1970年代から俳優や歌手として幅広く活躍を続ける中村雅俊さんと、女優・真野響子さんを迎えてお届けします

-可児市の皆さんにはお馴染みの「文学座」の出身ですね。

中学・高校とバスケットボール部だったのですが、上京して大学のESS( 英語を話すことを主な活動内容とするサークル)で英語劇に参加したのがすべての始まりです。英語の習得より芝居の方に興味がでてきて、在学中の1973年に文学座附属演劇研究所に入所しました。でも1年間研究生をやって2年目からは映画放送部”預かり”に。結局13年ほど在籍していましたが一度も舞台には上がらずじまいでした。

-1974年に日本テレビ系のドラマ「われら青春!」の主役に抜擢されてデビュー。同番組の挿入歌であった〈ふれあい〉で歌手デビューも果たして、それがいきなり(10週連続第1位)100万枚を超える大ヒットになり一躍スターに。特に1975~1976年に同局で放送された青春ドラマの金字塔「俺たちの旅」でその人気を決定付けました。小椋佳の作詞・作曲によるこの番組の同名主題歌も不朽の名曲ですね。夏から書店でDVDマガジンとして発売が始まり、今、再び「俺たちの旅」ブームが起きています!心惹かれた理由をお話いただけますか。

当時、同世代だった人が観ると、新たな発見があるかもしれません。そして、今の若い世代にはむしろ新鮮でしょうか。現代のファッショナブルなドラマと違って、泥臭くて荒っぽいところも多いと思いますが、人を好きになることとか、人生どう生きるかを真っ正面から描いた作品です。

-中村さん演じる一本気な”カースケ”と、同級生で何をしてもダメな”オメダ”(田中健)、郷里の先輩で何をするにも煮え切らない”グズ六”(現・秋野太作)の、はみ出し者3人が自分らしい生き方を模索して懸命に生きる姿が熱くて、今観ても心を揺さぶられます。

特に”カースケ”がいちばんアウトローでエネルギーに溢れていたから、みんな「あんな風に自由に生きられたらいいな」って憧れたんでしょう。自分もずっと周りに左右されずマイペースでやって来たので、どこか”カースケ”と重なる部分があったと思います。

-80年代には主演ドラマの主題歌〈心の色〉や桑田佳祐が作詞・作曲した〈恋人も濡れる街角〉が大ヒットし、連続テレビ小説「おしん」にも”俊作あんちゃん”の役でたった数話の出演にもかかわらず視聴者に深い印象を残します。その後も歌と演技を中心に活躍の場を広げ、時代を超えて人気を維持されているところが凄いです。

でもね、これまでに役者としてテレビの連続ドラマ主演作が34本、歌手としてもコンスタントに曲を発表しているのですが、代表作として挙がって来るのは70年代のものが多くて、いまだにあの頃のイメージが強烈みたいです(笑)。

-デビューから毎年行う全国コンサートも数年前の段階で既に1,500回を超えたとか。

おかげさまで近年では全篇フルオーケストラによるコンサートなど新しい挑戦も続いていて、(可児市とも関係が深い)新日本フィルハーモニー交響楽団との共演も忘れられない出来事のひとつでした。

-そんな中村さんが満を持して「シリーズ恋文」に登場です。実は朗読劇は初めてとか?

そうなんです! でも今までやったことないからこそ楽しみです。相手がこれまでに何度も共演を重ねている真野響子さんなので凄く心強い。いつも完璧主義でリハーサルもしっかりやる彼女に叱られないように(笑)、頑張ります。演出がラサール石井さんなのも面白そうですね。期待しています。

-手紙といえば、これまで人からいただいたもので記憶に残るものはありますか?

1984年の新春にテレビ東京の 時間超ワイドドラマ(のちの新春ワイド時代劇)「若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像」で主役の福沢諭吉を演じたら、放送を見た(母校の)慶應義塾大学の関係者から大変褒められ、当時の塾長からも学校の公式資料にするとお墨付きをもらいました。特に嬉しかったのは、在学中に授業を聴講していた高名な経済学者である加藤寛教授からも直筆のお手紙をいただいたこと。とても達筆で丁寧な文面で激励していただいて非常に恐縮したのを憶えています。

-因みに、中村さん自身は恋文というか、ラブレターを書いた経験は…?

残念ながらありません(笑)。そういえば、2009年に長年連れ添った夫婦が、互いに言えない感謝の言葉を1枚のはがきに綴る企画に着想を得て製作された、映画「60歳のラブレター」に主演させてもらったのですが、全国のいろんな方の想いが詰まっているというところが、今回の「シリーズ恋文」と共通していると思います。では、11月にアーラで皆さんにお目にかかれるのを心待ちにしております。

取材/東端哲也 撮影/中野建太 協力/フリーペーパーMEG

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