ala Collectionシリーズとは

平幹二朗が四半世紀ぶりに清水邦夫の傑作戯曲に挑む!

新作主義の日本の演劇界として消費され続ける戯曲に対し、あえて過去の優れた戯曲に焦点を当て、リメイクして作品を再評価するプロジェクトです。また、アーチスト・イン・レジデンスを基軸として、第一線で活躍する俳優・スタッフが可児市に滞在しながら作品を制作し、可児市から全国に発信する質の高い作品づくりを目指しています。

可児市文化創造センターは、世界的に整った施設を持ちながら、開館以来5ヵ年は制作事業をしてきませんでした。これを見直し、毎年3本の制作事業のうち、このシリーズは、可児市にアーチスト・イン・レジデンスをして稽古をして当地での一週間公演、東京吉祥寺シアターでの一週間公演、その後全国公演へと続きます。

「家族」とは、「老い」とは、「きずな」とは、今の時代を先取りするような冴えわたる筆力で1983年に第35回読売文学賞を受賞した清水邦夫の傑作戯曲。笑いと悲しみの中で、親子や兄弟関係をはじめ様々な人間関係のゆがみが浮かび上がる。1986年の『夢去りて、オルフェ』以来の「清水作品」主演となる平幹二朗、30年以上の演出家生活で「清水作品」初挑戦となる西川信廣の演出で、新たなる『エレジー』が再び幕を開ける。

作品紹介

「きずな」を求めて、さまよう魂たち ― 新しい家族あわせ。

偏屈でがんこな老父・平吉(平幹二朗)は凧の研究家であり、昔は高校の生物教師だった。平吉の家。八年前に平吉が頭金を出し、息子の草平がローンを支払うということで買った古家だが、その後、草平は平吉の意にそぐわない女優の塩子(山本郁子)を伴い、家を飛び出す。平吉が死ねば、家は草平の手に入るため、家を離れた後も草平はローンを払い続けた。残酷で荒涼とした家族の姿は、草平の急死で浮上した残りのローンの支払い問題により、大きく変化することになる。ある日、ローンの督促状を持って塩子が平吉の家にやってくる。対立する平吉と塩子の間に、やがて奇妙な愛情が生まれ、平吉の弟(坂部文昭)、塩子の伯母(角替和枝)、塩子に求婚する青年医師(大沢健)を巻き込んだドラマに展開していく。