alaが英国リーズ・プレイハウスと提携

リーズ・プレイハウスリーズ・プレイハウス

(公財)可児市文化芸術振興財団(ala)と英国随一の地域劇場であるリーズ・プレイハウス(LP)が 2015年4月21日付けで提携を結びました。今後、人事交流及び舞台作品の共同制作などを通じて、人々にさらに愛される地域劇場としての一歩を踏み出します。

※West Yorkshire Playhouse(ウェストヨークシャ―・プレイハウス) は2018年からLeeds Playhouse(リーズ・プレイハウス)に名称が変更となりました。

グローカルな業務提携を締結しました

 可児市文化創造センター館長兼劇場総監督 衛 紀生
可児市文化創造センター館長兼劇場総監督
衛 紀生

奇跡の劇場・リーズ・プレイハウス(LP)との出会いから 17年。東京とロンドンが介在しない地域劇場の連携が成立した―


私ども公益財団法人可児市文化芸術振興財団(ala)は、英国最大の活動規模を誇るリーズ市にある「北部イングランドの国立劇場」、「地域社会の牽引車」との異名をとるリーズ・プレイハウス(LP)との業務提携契約を締結したことをここにお知らせいたします。私がLPを知ったのは1998年のことで、その年、第10回の国際文化経済学会がバルセロナで開催され、私は研究発表の機会を得て、『Public Theater as a Means of Community Revitalization(コミュニティ再生装置としての公立劇場)』という論文を発表することになっていました。97年に上梓した『芸術文化行政と地域社会 ― レジデントシアターへのデザイン』の延長線上にある研究論文でした。研究発表の翌日の便で、私はロンドン経由でリーズブラッドフォード空港に飛びました。その前年に名古屋の世界劇場会議で知り合った、当時LPの経営監督であるマギー・サクソン氏からの強い誘いがあったからでした。そして、其処にあったのが『芸術文化行政と地域社会』で描いた劇場のデザインとほとんど相似形であり、バルセロナで発表した論文にある社会的機能をもつLPだったのです。声も出ないくらいの驚きでした。「空想」の域を出ていなかった私の「レジデントシアターへのデザイン」がそっくりそのまま、私の目の前にあったのです。そして、このような劇場が日本に20か所もあれば日本の文化環境のみならず、公共政策としての劇場の存在が日本人の生活に大きな実りをもたらすと考えたものでした。日本にこういう地域劇場が地方毎にあったら、日本は風通しの良い、心豊かな素晴らしい国になるだろう、と思ったものでした。様々な社会課題の解決に劇場が関わるという私の考え方が実現できると胸が高鳴りました。そのあたりのことは「館長エッセイ」に書いてあります。(http://www.kpac.or.jp/kantyou/essay_119.html)年間1000のコミュニティへ向けられたアウトリーチやワークショップを実施しているLPに、私は圧倒されました。同時に、ロンドンのナショナルシアターに招待されて1か月公演をしたり、ウエストエンドにトランスファーされる舞台を製作したり、それがロングランとなり現在でも世界各国で上演されるミュージカルだったりと高水準の舞台を製作しています。彼らのミッションはたった2つ ― 「世界水準の舞台の製作」と「地域社会への貢献」です。それから7回ほど調査を兼ねてLPに通い、親交を深め、日本では私が理事長を務めるNPOの主催でLPの経営陣を招聘してセミナー&シンポジウムを3回ほど開催しました。その頃から、マギー・サクソン氏をはじめ、当時の芸術監督で現サウスバンクアーツセンター芸術監督のジュード・ケリー氏、アーツマーケティングのケイト・サンダーソン氏、その友人のアーツ・マーケッターであるヘザー・メイトランド氏、当時ウエストミッドランド芸術評議会の理事で敏腕コンサルタントであるリー・コナー氏、現在もLPの芸術開発部部長で劇場の精神的支柱でもあるサム・パーキン氏、かつてのスコットランド芸術評議会のシルビア・ダウ氏、シルビアの仲介で当時ダンディレップの芸術監督をしていたジェイムス・ブライニング氏(現LP芸術監督)とドミニク・ヒル氏(現グラスゴー・シチズンズシアター芸術監督)など、私はLPを中心に英国の人脈を広げ、さまざまな経営手法を学んできたと言えます。40歳代後半から関わった北海道劇場計画も日本にLP型の劇場を造ろうとするものでした。そして、私が可児の劇場に赴任した1年後の2009年に、LPの当時のCEOであったシーナ・リグレイ女史と当時の芸術監督イアン・ブラウン氏に業務提携のオファーを出しました。現在の可児の劇場も、LPとの出会いの驚きが私のモチベーションであり、WYPを目標として日本に新しいかたちの地域劇場を創出しようという思いで作ってきたものです。初めてのLP体験から10年の時間を経て、ようやく具体的な提携の協議の端緒をひらき、17年目にして提携契約となったわけです。提携の内容としては、毎年の相互人事交流と滞在型国際共同制作の実施です。たまたまオリンピックに重なりますが、私の考えとしては可児が東京を経由しないで世界につながるグローカルな舞台製作と劇場経営スキルの発信のための提携であると考えています。初回の滞在型国際共同制作の作品構想は、現LP芸術監督ジェイムス・ブライニング氏と、私どもからは文学座の西川信廣氏の共同演出という枠組みで、今夏から初冬にかけて協議することになっています。構想が固まったところで、記者発表をすることになっております。このグローカルな文化協働に是非ともご理解いただき、ご支援いただくようお願いいたします

リーズ・プレイハウス(LP)とは

リーズ・プレイハウス芸術監督ジェイムス・ブライニング
リーズ・プレイハウス芸術監督
ジェイムス・ブライニング

リーズ・プレイハウスは1968年、当時は貧しい地域であったリーズ市の市民運動によって誕生しました。劇場が様々な生い立ちを持つ人々やあらゆるコミュニティの人々に影響をもたらすことを、運動を率いたリーズ市民は強く信じていたからです。「市民のための劇場」という創立時の精神は、現在のプレイハウスにも息づいています。 北イングランドの多様性に富んだ大都市、リーズ市の中心部の丘の上にある現在の建物は、1990年3月に開館しました。プレイハウスには、客席数750席のクォリイ・シアターと、350席のコートヤード・シアターの二つの劇場空間があり、2019年には新しく、ブラマルロックボイド・スタジオシアターが加わります。   プレイハウスの進歩的な「クリエイティブ・エンゲージメント事業(コミュニティ及び教育事業)」は、ロンドンとストラトフォードを除くとイギリスでは最も活動規模が大きく、未就学児から高齢者までを含む約9000人が毎年参加しています。青少年対象事業は学校と劇場別館の「ファースト・フロア(青少年専用館)」で実施、「ファースト・フロア」では学習障害者、未成年介護人、難民、放校処分を受けた生徒など、不安定な状況にいる若者を対象に定期的な事業を展開しています。プレイハウスは青少年及び学習障害者対象事業の分野では先導者と認められています。高齢者対象事業も多数実施、毎週200人以上の高齢者が事業参加している他に、認知症の方々を対象とした革新的な協同事業も開発、実施しています。同時にリーズの恵まれない地域・境遇に暮らしている市民に向けては、ワークショップ、コミュニティセンターでの演劇作品出張公演などの事業を展開し、恵まれない市民でプレイハウスで観劇をしたい人たちへのサポートシステムも整えています。 プレイハウスは英国では初めて「シアター・オブ・サンクチュアリ(安らぎの劇場)」‐難民及び難民申請者のために安全で暖かく創造的な空間を提供する劇場‐と認定されました。 アーティストを育成し新作を開発していくことにもこの劇場では重点を置き、アーティストが地域でキャリアを開発し維持していくための機会やサポートを与え、作品を発表する場を提供し、演劇界の新しい才能を見いだしています。プレイハウスは又、批評家と観客の両方に好評で質の高い舞台作品をイギリス全国及び世界へと発信しています。2016年のクリスマス作品「Strictly Ballroom(ダンシング・ヒーロー)」は海外公演の後ロンドンのウエストエンドでも上演され、2017年のロイヤル・ナショナル・シアターとの協同制作「The Barbershop Chronicles(床屋新聞)」はオーストラリア及びアメリカでも上演されました。芸術監督ジェイムス・ブライニング。

※West Yorkshire Playhouse(ウェストヨークシャ―・プレイハウス) は2018年からLeeds Playhouse(リーズ・プレイハウス)に名称が変更となりました

「リーズ・プレイハウス」と「可児市文化芸術振興財団」の人事交流及び舞台作品の共同制作について

可児市長

このたび、英国法人リーズ・プレイハウスと本市の公益財団法人可児市文化芸術振興財団とが、相互の人事交流と舞台作品の国際共同制作について覚書を交わされたことに対し、心よりお祝いを申し上げます。  この国際的な交流が、今、劇場に求められている「社会抱摂機能」の先進事例として、貴財団の進められている「まち元気事業」への弾みとなり、ひいては本市が目指す「住みごこち一番・可児」の実現に大きな成果をもたらしてくれるものと期待をいたしております。  今回の提携を機に、リーズ・プレイハウス及び可児市文化芸術振興財団の双方が、ともに益々ご発展されますことをお祈りいたします。

 

平成27年5月15日 可児市長 冨田成輝

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