学校に行きたくても行けない子ども達のための
スマイリング ワークショップ 2020

自分らしさを見つめ取り戻すために

2020年度は小中学校に出かけてのワークショップが新型コロナウイルスの影響で中止となる中、7月、市総合会館内にある教室『スマイリングルーム』と東京の講師をオンラインでつないでワークショップを実施しました。スマイリングルームでは、毎年1年を通して10回程ワークショップを実施しています。振り返ると今年で8年目という長いお付き合いです。このワークショップはどのような活動なのか、市教育研究所の成瀬英員先生、講師の新井英夫さん(体奏家・ダンスアーティスト)と黒田百合さん(劇・あそび・表現活動 Ten seeds主宰)にお話を伺いました。


- 可児市の『スマイリングルーム』という教室について、まず成瀬先生あらためて教えて頂けますか。

成瀬 スマイリングルームは、さまざまな理由で学校に行くことが出来なくなってしまった子ども達が、自分を見つめて自分らしさを取り戻して、学校復帰ができるように支援していく、子ども達の居場所になるような教室です。現在、通室してくる子ども達の人数は日々さまざまですが、平均して1日あたり10名程通ってきています。一人ひとりが自信を持って自分の人生を歩んでいけるように、それをお手伝いする事が私たちの役割であると常々思っています。

スマイリングルームは第1に「子ども達の心の居場所」、第2に「子ども達の自主性・自発性を育てて、対人関係が上手くできるように改善を図る」そして「スケジュールに合った生活ができるように力をつけて、学習の力を伸ばす」ことを目的に日々活動しています。

- 例えば学校での人間関係だったり、家庭環境だったり、障がいがあって通うことが出来なくなってしまったり、子ども達によってその理由はさまざまですね。

成瀬 一言で《不登校》と言っても、一人ひとりが全く違うと思っていいと思います。子ども達への対応も年々難しくなってきています。学校での関係、家庭の問題、最近では発達障がいの子ども達も増えています。子ども達をよく観察していると、多くはとても真面目な性格。敏感な感性を持っていて、自分を表現する事、相手とコミュニケーションをとる事を苦手と感じている子が多いです。苦手な事を少しでもクリアして、良さを伸ばしてあげる。ワークショップには、実はここについて一番期待しています。

ワークショップ実施にあたっては現場の先生と相談しながら展開を考えていますが、講師の皆さんはどのような所に重点を置いて活動をしていますか。

黒田 まず一番大事にしているのが、ここが安心できる場で、私たちも含めて安心できる大人達が寄り添ってくれる場所であるという事。そして、一人ひとりが違っていて当たり前なんだという事。もともとは演劇だからイコール表現なんですが、表現が上手くなって欲しくてこの活動をしている訳ではなくて、人と関わることによって子ども達が変化したり、人それぞれ違っている、あの子のこういう所いいよね、そういうのを見つける活動なんだと思っています。学校では、国語や算数などの教科だけでなく、運動能力が高いとか、楽器が弾けるとか、どうしても優劣評価がありますが、これが表現活動なら、違うことが豊かになると思います。お互いが認め合えば、お互いを知ることが出来るし、他者を理解することが「生きる力につながる」。そういうところが、文化芸術の得意なところかなと思います。出来てもいいし、出来なくても別にいい。早くてもいいし、遅くてもいい。ただそういう所をみんなが認め合えたらいい。共有できることが大事かなと思ってやっています。

時には参加したくないという子もいますよね。でも私たちがやっているのは、《つい参加したくなる》そういうことを最近はとても意識しながら活動しています。例えば蜘蛛の巣みたいにビニール紐を部屋中に張り巡らせて、紐に触れないように潜り抜ける活動では、やりたくないと言っていた子にも、「ちょっとここ持ってて」とか、「ハサミ貸して」とか、その一言一言が実はやりとりになっていて。表現とか関わりが苦手だったりする子ども達も、短いフレーズの中できちんとコミュニケーションを取っている。実はそういう小さなやりとりが表現の入口だったりするので、そんな《ついやりたくなるような》入口を一緒に探しながらやっていけたらいいなと思っています。

 
左)「蜘蛛の巣」活動中の様子
右) 新聞紙を張り合わせ大きな紙が出現。広げて中を潜ってみる。

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