エイブル・アート展「動物大図鑑」

2023年10月02日

もっと、優しい、未来へー

『わたしの描いた絵を飾っていただいてうれしいです!』満面の笑みを浮かべてそう話す内園明日美さん。今年、「動物大図鑑」というテーマで開催したエイブル・アート展の出展作家さんです。他にも4人の作家さんの個性あふれる動物たちが会場を彩りました。愛くるしい姿の動物や迫力ある動物など、それぞれの作家さんたちの独創的な感覚、感性が、作品の中で不思議な魅力を放ち、鑑賞者たちは心を奪われていました。

しかし、障がいのある方々にとってはその特異な感性、感覚であるがゆえに、時として生きづらさを感じていることもあります。自閉症スペクトラム障害をもつ内園さんの「発達障害あるあるカルタ」は、そんな彼女自身が見ている世界や日常で感じる違和感をユニークな動物イラストと言葉でカルタにしたものです。全国書店での販売を目標にする内園さんの『凸のてっぺんから見てる景色を、凹の底に広がってる世界を、一人でも多くの人に眺めてもらえますように。そして、わたしとみんなで踏み出すこの小さな一歩が、もっと優しい社会・未来に繋がっていきますように』というまさに彼女の強い願いが込められた言葉には心が動かされます。違いを寛容する社会を目指すには、その違いを知ることからはじまります。


今回のエイブル・アート展は、その違いを知る入り口として、さらには違いがあるからこそ豊かであることを、それぞれの動物たちが優しく語り掛けてくれるようでした。また、関連企画としてTASCぎふさんに実施していただいた「みんなのオープンアトリエ」では、子どもから大人まで80人以上が参加し、それぞれ自由に絵を描いていただきました。親子で参加した親御さんは『子どもが手や足に絵の具を付けて全身で絵を描くことは家では絶対にできない。こういう場所があるのは嬉しい』といいます。誰にも咎められることなく、絵を描くことを全身で思いっきり遊べる自由な空間だからこそ、みんなで描いた大きな絵には、カラフルで伸びやかでエネルギッシュな作品が描かれました。人々の個性や感性はこのようにして豊かになっていくことを体現しているようでもあります。共生社会の実現とは、きっとこのような場所をみんなで沢山作っていくことなのかもしれません。

事業制作課 澤村 潤


日 程 2023.7.15~23 ※18日は休館
会 場 美術ロフト、音楽ロフト
主 催 (公財)可児市文化芸術振興財団
共 催 可児市
企 画 (一財)たんぽぽの家/(社福)わたぼうしの会
協 力 (公財)岐阜県教育文化財団 岐阜県障がい者芸術文化支援センター(TASCぎふ)