スマイリング ワークショップ

2021年03月01日

不登校児童・生徒が通うスマイリングルームでのコミュニケーション・ワークショップ。
(ワークショップ=WS)

感染症拡大の影響により学校WSの中止が決定された中、スマイリングルームの先生からの 「クラス単位でのWS実施は難しいかもしれないが少人数のスマイリングルームなら出来そうなWSを試験的にやってみないか」との打診を受け、東京在住の講師と可児のスマイリングルームをオンラインで繋いでのリモートWSの可能性を実践する中で模索しました。

対面のワークショップではないため、画面から外れた子ども達の様子などは講師からは見ることができないため、例年以上に先生方とスタッフが子ども達に目配りし状況を東京の講師に伝え、また会場全体を映すカメラをワイドレンズにすることで死角を少なくする工夫を施しながらの開催となりました。また、先生方と子ども達の様子や活動の方向性について常に話し合いながらの活動となりました。

 子ども達はマスク着用のためワークショップ中に重要視している個々の表情が読みにくいという難点がありますが、タブレットを使っての活動だと、子ども達の表情も、指先だけの動きなど小さく細かい表現も大きく映し出されるため、対面での活動では埋もれてしまうような、見落としてしまうような所まで拾えるというプラスの収穫もありました。

 また、スマイリングルームにも通室していない自宅学習の生徒が、自宅からワークショップの様子を(自身のカメラはOFF状態として)見学し、自分でも実践してみての状況をチャットで伝え先生が返信をするという回がありました。リモートでの活動であるからこそ実現できた事でもありました。

 ワークショップの目的のひとつでもある、他者との関わり合う活動としてインタビュー体験や、子ども達ひとりひとりの良い所を伸ばす試みとして(またひとりひとりの興味関心や思いをより深く知りたいという事もあり)リポーター体験なども実施してみました。結果、活動に積極的な子ども達は参加する事ができるが、自分の意見を言う事が苦手な子や、事前に準備をしなければならない事にストレスと感じる子などは参加する事に消極的になっていくという事態となりました。先生方が子ども達の変化に気付き、ワークショップ内容が実はとても高度な作業となっていた事を講師・スタッフと共有し、事前準備などが必要ない子ども達の即興性が鍛えられるような、また異年齢集団でありつつ皆で助け合える、楽しめ合えるような活動としていく事になりました。

活動を重ねていく中で、小学生と同じ内容を一緒に行う事に気恥ずかしさのような態度が見え始めて中学生が、ワークショップがある日は通室を控えようかという言動があった事を先生から伺い、それでは、スタッフとして一緒に活動してもらえないかと提案しました。見た目にもスタッフと分かるように現場ではスタッフジャンパーを着用してもらいました。すると、参加者として活動していた時にはなかった積極的な表情、姿勢を見せるようになり、準備や片付けまで自発的に手伝っていました。小学生の発表内容を講師に分かりやすいようにタブレットで大きく映し出す際も、ただ撮影するだけではなく発表に対して拍手をしてあげたりとその場が盛り上がるようなリアクションまでしてくれていました。回を増すごとに中学生の目の輝きに変化があり、スタッフに自分はどう動いたらよいか指示を仰いだり、自分の考えや意見まで伝えてくれるようになりました。見違えるような成長ぶりで自信が感じられました。改めてワークショップにはいろいろな関わり方があって、むしろスマイリングルームのような異年齢かつ敏感な感受性や不安定になりやすいなどそれぞれの子ども達が抱えている心の状態が複雑な集団の空間では、関わり方についても多く担保される必要性もあるという事を再確認しました。

そして、ワークショップでスマイリングルームに度々伺う事で、活動には参加しない子ども達ともスタッフが挨拶をしたり会話を交わしたりし続ける事で、子ども達が外部のいろんな人と関わり、その相手を安心できる人として受け入れてもらうという事も大切な関係性だと感じました。

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日程 7月~2月(計7回)
会場 スマイリングルーム(総合会館内)
参加者 延べ56人
講師 新井英夫(体奏家、ダンスアーティスト)、アシスタント2名
協力 可児市教育委員会 スマイリングルーム
主催 可児市