Special サマー・コンサート2021出演 岐阜県出身ヴァイオリニスト 辻彩奈 インタビュー

岐阜県出身ヴァイオリニスト辻彩奈がマエストロ井上道義、新日本フィルと贈る
夏にぴったりのラテンプログラム

岐阜県出身のヴァイオリニスト 辻彩奈が、マエストロ 井上道義の指揮する新日本フィルとの共演で、2年振りに「サマー・コンサート」に登場。南欧の情熱を漂わせるフランス人作曲家ラロの代表作に挑む!

― コロナ禍に負けず、元気に演奏を続けられていますね。

無観客の配信コンサートなども初めて体験して、たくさんの人に音楽を届けられる新しい形を素敵だなと感じたのと同時に、これまで当たり前のように思っていたお客様の表情を見ながら会場で演奏できることの素晴らしさ、有難さに改めて気づかされました。自粛期間中に家で譜面を読んでいてシマノフスキに興味を持っていたところに、たまたま代役で 『ヴァイオリン協奏曲第2番』 を演奏するオファーをいただいたこともあったし、何事も前向きに、プラスに考えて、いま自分にできることをしっかりやっていきたいです。

― アーラには2018年3月の「祈りのコンサート」、同年10月の上原彩子(ピアノ)さんとの「デュオ・リサイタル」、そして2019年8月の新日本フィル「サマー・コンサート」に続いて、今度で4回目の登場となりますね。前回と同じ 井上道義(指揮)さんとの名コンビで期待が高まります!

2年前の公演はよく憶えています。直前まで2週間イタリアのパレルモ(シチリア島)の音楽祭にいて、毎日海で泳いだりして過ごしていたのですが、帰国して可児でマエストロとリハーサルで会って、いっぺんに正気に戻ったというか(笑)、身が引き締まる思いがしました。久しぶりのシベリウス 『ヴァイオリン協奏曲』 だったけれど、本番では30分間全力で立ち向かって、最初からずっと溜めていた内なる情熱を第3楽章で思いっきり放出できた感じでした。

― これまで沢山の指揮者と共演されていますが、マエストロ井上道義はどんなタイプですか?

「君のやりたいこと全部くみ取ってあげるから、好きなように弾いていいよ、ついて行くからね…」っていうのとは圧倒的に違う(笑)。お互いにじっくりと話し合って一緒に音楽を作り上げていくタイプですね。マエストロとは何度も共演していますが、今年5月の東京都交響楽団の定期演奏会でサン=サーンス 『ヴァイオリン協奏曲 第3番』 を演奏するにあたっては、私にとって初めての作品ということもあって、オーケストラとのリハーサル前にご自宅に伺っての《特訓》にもお付き合いいただきました。

― その《特訓》、SNSに辻さんがアップされていた写真を拝見しました!

サン=サーンスはマエストロも凄く想い入れのある作曲家で、指揮者の総合的な角度から色々なことを教わりました。私自身が、今までシェリングやミルシテインなど、20世紀のヴァイオリン・ヴィルトゥオーソ(巨匠)たちの残した名盤を聴いても気付いていなかった要素やアイデアを間近で沢山吸収できて、本当に夢のように充実した時間を過ごすことができ、本番でも同じ目線で演奏することができたと感じています。

― 8月の「サマー・コンサート2021」でソリストを務めるラロ 『スペイン交響曲』も初めて挑戦される作品だとか?

はい、この曲は、学生時代のコンクール課題曲などに採用されることも多く、皆さん若い頃に弾いているものなのですが、私はなぜか機会がありませんでした。サン=サーンスの3番と同じで、ずっと演奏してみたいと思っていた作品ですね。マエストロに、「またラロの時も《特訓》に伺わせてください!」 って既にお願いしてあります(笑)。

― この『スペイン交響曲』は名前こそ《交響曲》ですが実質的には、ヴァイオリン独奏と管弦楽のために作曲された《協奏曲》。ラロが19世紀スペインが生んだ超絶技巧ヴァイオリニスト、サラサーテに出会って、自分の中に眠っていた先祖の血(※ラロ自身はフランス北部の生まれだがルーツはスペインにある)を呼び起こされて書いたと言われています。

楽章ごとに表情の違う5つの楽章からなる壮大な協奏曲ですね。第1楽章から情熱的でエキゾチックな雰囲気のヴァイオリンに心を掴まれます。特に少し暗い印象の第4楽章の後で、一気に明るく踊り出したくなるような最後の第5楽章が圧巻です。キラキラと輝く楽しい曲ですが、演奏は超難しい(笑)。でもきっと大いに盛り上がると思います、ご期待ください!

― 今回のプログラムでは他にも、ファリャ『三角帽子 第1組曲&第2組曲』 やラヴェル 『ボレロ』 が揃っていて、全体でスペイン的な舞曲がテーマになっていますね。

いい意味で一流のエンターテイナーであり、いつもお客様を楽しませることを第一に考えていらっしゃるマエストロにぴったりのプログラムだと思います。私もマエストロの切れ味のいいラテンのダンスを聴くのを楽しみにしています。

― 新日本フィルは「サマー・コンサート2016」 でもラヴェル 『ボレロ』 をとりあげて大好評だったみたいです(※指揮:上岡敏之…同楽団の音楽監督に就任した上岡さんにとってアーラ初登場)。

そうなのですね。私はこれまで新日本フィルとは2回共演させていただきましたが、楽団の空気感が最高でした。コンチェルトっていわば、ソリスト vs オーケストラな世界ですが、私はいつもスコアを隅々まで眺めて、他の楽器が何をしているかきっちり把握したいタイプで、室内楽的にそれぞれの楽器との対話をしっかり楽しみたい。そういう意味で新日本フィルの皆さんは、自分のパートだけに集中するのではなくて、お互いの音に耳を傾けている方が多い気がします…。そんなところが好きです!

取材/東端哲也 撮影/中野建太 協力/フリーペーパーMEG

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