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インタビュー:復興への願いをトリオ演奏にのせて、9年目の「祈りのコンサート」

インタビュー:今年の「祈りのコンサート」はトリオによる演奏をお届け。昨年6月に「アーラ未来の演奏家プロジェクト」に登場して好評を博したコンビに、お馴染み新日本フィルのコンサートマスターを加えた魅惑のアンサンブルが、名曲たちを奏でます。

森さんと長谷川さんは昨年の「アーラ未来の演奏家プロジェクト」で初めて共演されたんですよね。

 高校時代に吹奏楽部でチューバを吹いていたくらいで、元々アンサンブルは好きだったのですが、チェロと一対一で共演した経験はなかったので、こんな世界もあったんだって、驚きと感動の連続でした。無我夢中で日程を終え、同企画のコーディネーターを務めている、作曲・編曲家の佐野秀典さんの口から「良かったよ!」という言葉を聞いて、心底ほっとしました(笑)。

長谷川 私も!(笑)。そして帰りの新幹線の中で、今回の「祈りのコンサート」の話をいただいて、その場で西江さんに連絡して出演交渉したのもいい思い出です。

長谷川さんは昨年4月に新日本フィルハーモニー交響楽団に入団されたばかりです。

長谷川 入団したばかりの頃はメンバー交替もあって楽団内も少し混乱していたので、できるだけムードメーカーになろうと務めていましたが、その甲斐あってみんなとすぐに打ち解けることができました。

西江 首席チェロは音楽的にもとても重要なポストで、コンサートマスターの視界にすぐ入る位置にいます。今や彼女はオーケストラだけでなく室内楽等にも積極的に参加して皆から引っ張りだこ、頼もしい存在です。

ピアノ、ヴァイオリン、チェロからなるトリオはいろんな作曲家のインスピレーションを刺激する魅力的な編成です。

西江 最高の組み合わせの一つですね。弦楽四重奏と比べると、ピアノという和音を雄弁に語ることのできる楽器が一つ入るだけで、作曲の書法的にも、演奏面においてもかなり自由度が高まるのではと思います。それぞれがソロとして独立していながらも、互いに影響を及ぼす関係にあり、自由度が高いからこそ、奏者も個性を出しやすい編成なのではないでしょうか。

今年も恒例の J.S.バッハ 〈G線上のアリア〉 で幕開けするプログラム。黙祷の後には前半最大の聴き所であるチャイコフスキーのピアノ三重奏曲が予定されています。

西江 思い入れが深く感情の溢れ出たような作品で、初めて聴く方でも間違いなく魅了される素晴らしい名曲です。それだけにトリオの実力が試される難曲ではありますね。

 それを聞いて益々緊張してきました(笑)。

長谷川 私もチャイコフスキーの曲はオーケストラ以外では初めて演奏します。でもこのメンバーならきっと最高の音楽が届けられるはず。信じています!

休憩をはさんで後半の楽しみは?

西江 チャイコフスキーのピアノ三重奏曲はかなりの大曲ですし、葬送で曲を閉じます。この曲の演奏後には何も演奏したくないような、本来なら演奏会の最後にふさわしい曲なのですが、もし後半に曲を加えるとすれば、全く異なる雰囲気のプログラムの方がいいかもしれませんね。

 それぞれのソロもありですし、二人でデュオ演奏も考えられる。いろいろと検討したいと思います。

最後は可児市オリジナルのミュージカル《君といた夏》からの合唱曲で、応募された参加者をステージへ迎えてのフィナーレです。では最後に可児の皆さんにメッセージをお願いします。

西江 仙台フィルに5年間在籍したので、東日本大震災は自分にとって他人事ではありませんでした。それでもあれから9年の月日が流れて、国民の記憶も少しずつ薄れていくなかで、可児市の皆さんがあの日をずっと忘れないで「祈りのコンサート」を続けてくださっていることは素晴らしいと思います。当日合唱曲で皆様とご一緒できるのも今からとても楽しみです。是非会場へ聴きにいらしてくださいね !

長谷川 昨年は「未来の演奏家プロジェクト」に続いて、9月には「新日本フィルメンバーと仲間たち」にも参加させていただき、今年は「ニューイヤー・コンサート」に、この「祈りのコンサート」と可児市との関係がどんどん深まっていくのが、お隣の多治見市出身としてはとても嬉しいです。これからもお願いします。

 思えば可児市には「未来の演奏家プロジェクト」の初回に呼んでいただいたのが最初で、昨年6月の同企画で再訪したわけですが、皆さんが憶えていて歓迎してくれたことに感動しました。この繋がりをこれからも大切にしたい。「祈りのコンサート」では素晴らしいメンバーと凄い曲に挑みます。アーラで皆さんのお越しをお待ちしております。