それではアーツ・マネジメントについて、中川さんからお話を伺いたいと思います。公文協も文化庁もずいぶん前からセミナーや講座をやってますよね。
経営という概念がない行政の職員にそういう話をしてきた経緯があるんですよね。矛盾したことをやってきたし、なおかつ20年も経ったのに定着していない、スキルとしても、知識としても集積していない。いまの状況の中で、公共文化施設とアーツ・マネジメントの関係はどう整理していったらいいのかを中川さんからお話願いますか。
経営という概念がない行政の職員にそういう話をしてきた経緯があるんですよね。矛盾したことをやってきたし、なおかつ20年も経ったのに定着していない、スキルとしても、知識としても集積していない。いまの状況の中で、公共文化施設とアーツ・マネジメントの関係はどう整理していったらいいのかを中川さんからお話願いますか。
中川:先ほど連合艦隊と軍令部のような難しいことを言いましたが、要するにどのような事業体も必ず政策と施策と実施というパラグラムが出来る。だから、文化ホール自体もその存立理念を明らかにしなければならないし、理念に基づく事業を企画構築し、それを効率的経済的に実践するという仕事をしなければならない。それはホールとしての理念と政策と計画と事業となるわけです。ところが、ホールを支えてくれているはずの設置責任者である都道府県とか市町村自体が文化政策を持っていないか失ってしまった場合に、文化ホールが孤立無援で、何を勝手にやっていると言われかねない逆転した構造が日本のあちこちに発生することは正さねばならない。これは自治体の文化課とか企画課の人たちにメッセージとして伝えていきたい。そういう人たちこそアート・アドミニストレーション、文化政策、芸術政策を学習し直さなければならない。役所の人たちが厳密な意味でのアーツ・マネジメントまで学習しなくても良いと思います。彼らの領分から言えば負担過剰でしょう。反対に、直営で文化ホールの事業係長なんかご担当になった方で、それが余りに面白すぎてその世界にべったり浸りきって、本庁に帰ったときは使い物にならなくなったケースもあり、こういう場合は犠牲者と言える。
この関係を現場において整理して欲しいのは、館長さんやアートディレクターとか芸術監督とかいう人たちは全部に渡って能力を持ったスーパーマンみたいな人もいるけれど、本当はアドミニストレーターという立場です。現場の人が目標をはっきり認識して、その方向に勇気を持って進むことを応援する人です。「君らのやっていることは間違いがないよ。これだけ作戦と企画を立てたんだから頑張ってよ。金は僕がとってくるからね。」と言うのがアドミニストレータの仕事です。マネジメントの仕事はとにかく何とか実現すること。現場では必ずトラブルも矛盾も生じるけれど、それをこなしながら実現に向けることがマネジメントだと思います。専門によっていろいろなマネジメントがある。音響や照明や制作、その全てに明るくなることはできない。それぞれの専門毎にマネジメントがある。アート・アドミニストレーションとアーツ・マネジメントと二つあって、アート・アドミニストレーターを教育するプログラムもある。芸術政策のことです。これで鍛えられた人は、逆にアーツ・マネジメントの現場の専門技術については敬意と信頼を寄せるべきでしょう。少なくとも、一つぐらいは現場のことに明るくなった方が分かりやすい。まったく分からないままで、アート・アドミニストレーターというのも変な話で、反対に現場部門からアート・アドミニストレーションを学習する人が出てもいいと思います。




