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集客から創客へ☆回復の時代のアーツマーケティング

第一章いまこそアーツマーケティングの導入を/創客へシフトせよ (1)

舞台芸術の観客数は、2001年を境に右肩下がりに減少している。景気動向や余暇時間の減少などの状況をみると舞台鑑賞どころではない外部環境であることは確かなのだ。一方で、幕が開いてみないと分からないという不確実性が舞台芸術のチケットを購入する行為には逃れようなくある。今回は、舞台芸術を取り囲む環境と行動経済学から、舞台芸術チケットの消費行動について考える。

マーケティングとは観客、参観者、参加者の観点から物事を見つめることです。
私たちは人々に関わってもらうための理由を提供しなければなりません。

ヘザー・メイトランド「成功したマーケティング、失敗するマーケティング」

素晴らしいパフォーマンスを作るものは何か、というのはよく聞かれる質問だ。だがこの質問は翻って言えば、素晴らしい観客を作るものは何か、ということである。

フィリップ・コトラー&ジョアン・シェフ・バーンスタイン『Standing Room Only』

多くの場合、人はモノを見せないと、自分がそれを欲しいかどうかすら分からない。

スティーブ・ジョブズ(アップル社の創業者)

舞台鑑賞どころではない外部環境

芸団協の調査報告書『芸能活動の構造変化―この10年の光と影』によれば、舞台芸術の観客数は、クラシックを除いて2001年を境に5ポイントから2.7ポイントの幅で右肩下がりに減少している。舞台芸術にとっては到底看過できない事態だが、それに対して次の一手を見出せていないことの方が舞台芸術界にとって深刻な問題だと思う。だから公的な補助をしろというのでは虫が良すぎる。ときに保護政策的な施策も必要だとは思うが、ここを機会としてマネジメントやマーケティングの技術開発をすべきだと私は考える。そこで、舞台芸術団体及び劇場・ホールをこれまでどのように経営してきたかを振り返って海図を描きつつ、大きく舵を切る必要があると思う。

観客数が減少傾向になった要因はいろいろと考えられる。むろん、景気動向は相当に深く絡んでいるだろう。原材料や原油の高騰によって、すでに物価が上昇して所得が減少するスタグフレーションの状況に入っていると言われる。舞台鑑賞どころではない外部環境であることは確かなのだ。

余暇時間についても同様の厳しさがある。正規職員のみを対象としてみても、平成18年の年間総実労働時間は 1842時間で、前年比13時間の増加である。ここ10年の総実労働時間の短縮は、パートタイマーや派遣労働者など短時間労働者の総労働者に対する比率の上昇による「見せかけ時短」という側面がきわめて色濃い。余暇が必ずしも芸術参加に結びつくとは思えないが、余暇時間の減少は、それだけレジャーや娯楽に対する品質へのこだわりが強くなるだろう。厳しい選択が必然となる。20年前よりも余暇生活の選択肢は確実に増えている。しかも当然だが、時間は誰でも一日24時間しかない。したがって、1時間あたりの価値は以前よりかなり貴重になっている。限界のある「時間」が希少になると、必然的にそれを消費する態度が厳しくなる。これはいわば「メガトレンド」であり、メガトレンドは一人の人間や一企業がどうすることもできない世界的な大きな潮流なのだ。

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