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世界劇場会議国際フォーラム2009  於 愛知県芸術文化センター

Session1.地域公共ホールの未来を展望する。シンポジウム(2)

2009年2月6日(金)・7日(土)に愛知芸術文化センターで行われた「世界劇場会議 国際フォーラム2009 地域の文化環境、再生へ向けて。」の模様を掲載します。

世界劇場会議は、地域における舞台芸術の創造と社会基盤造りをめぐる諸問題を世界的規模において議論する場として始まり、 「芸術家」「制作者」「劇場技術者」「コンサル・シンクタンク」「行政」「企業」「研究者」など、劇場にかかわる幅広い人々が一同に会し、劇場という総合体について語り合う場です。

非常に懐の深い地域劇場を体験したのが大きい

>>>前回の続き

衛:オールドビックのように格式の高い劇場であろうが、いろいろなものに開かれ、いろいろなものに貸している。イギリスの地域劇場が、今の西川さんのお考えをつくり、ご自身の活動を貫いていると思います。不登校の子どもを題材にしたミュージカル(鎌倉)、横浜の小学校のワークショップで群読をしたり(中に知的障害の子どもも入って)、そういう活動をしている。西川さんは演出依頼の非常に多い中、そういう活動しているのは、イギリスのオールドビックで、格式は高いが、非常に懐の深い地域劇場を体験したのが大きいのではないかと思っています。なお、アメリカは、地域劇場といってもいまでは教育プログラムから撤退していてそれほどありません。イギリスのブレア政権では、「ソーシャルインクルージョン」(社会的包括)、つまり、国籍・性別・障害の有無などにかかわらず、すべの人々が違いを乗り越えて、社会がそれを包み込んでいく、そういう豊かさを求めていくという施策を行いました。その中で、宝くじの収益を文化に向けたのです。ただし、国が無条件で文化を支援したのではなく、地域にコミットした文化を通じて地域を支援したのです。文化、文化機関、劇場、美術館などがソーシャルインクルージョンのための手段になったのであって、必ずしも何の制約も無く文化支援をしたわけではないのです。それがイギリスでコミュニティプログラム(教育プログラム)が発達した背景だと思います。サッチャー政権で息絶え絶えになった文化施設が、そのおかげで息を吹き返した。私が社会機関としての文化施設を考えている中で、ソーシャルインクルージョンに出会ったのです。

文化関係者にある悪しきエリート主義

貸館利用の面でよくカラオケへの貸し出しが問題になることがあります。ただ、自分の行っていることに確信があれば、カラオケぐらいいいじゃないといえるのではないでしょうか。アーチストや芸術監督の中にはカラオケがダメという人がいますが、懐が浅い、自分のやっている仕事に自信が無いからそうなるのだと思います。自分のエリート意識を満足させないので、カラオケがだめというのではないでしょうか。

西川:ブリストルの中ではロックコンサートを不愉快に思っていたスタッフはいただろうと思いますよ。

衛:300年の格式を持つ劇場に、悪しきエリート主義がないことがすごいと思う。日本の劇場関係者、文化関係者には悪しきエリート主義がまだあるのではないでしょうか。それが劇場に人を寄せ付けない原因になっている。観客もエリート意識を持ち、文化が一部の人だけのものになっている。日本には法律でホワイエを使っていけないとも、使っていいとも言っていない。やろうと思えばいくらでもできる。

文化は福祉の一分野

中川:まったくそのとおりで、文化芸術振興基本法で、芸能と芸術の言葉の使い分けをしてほしくなかった。英語では両方ともアートです。無意識の中で壁を作っている一例です。橋本知事のハイカルチャーへの反感もそのあたりから来ている気がするし、市場性がないのなら、滅びていいというメッセージに、私には聞こえてしまいました。
大阪府では、文化財、芸術文化、人権、教育、警察などの予算に厳しかった。警察・教育はかなり反発があり、押し戻しがありましたが、大阪府立文化情報センター、国際児童文学館は廃止の方針になってしまいました。大阪センチュリーオーケストラへの補助金も大幅に削減されそうです。

衛:大阪府で起こっていることは象徴的なことで、多かれ少なかれ、どこでも同じような状況で、現在の経済状況では、文化は役に立たないと判断され、予算の削減や施設の廃止が起こっている。


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