しかし、ブリストル・オールドビックで研修して、一番驚いたのは、ロビーが1年中開放状態であることでした。それほど立派なロビーではないですが、昼になると、テーブルが出てきて、劇場のキッチンで料理を作って、大皿に盛ってセルフサービスで販売し、劇団員や近所の人が食べに来る。ホールが即席の立食レストランになるのです。とにかく空いている時間のほとんどを何かのイベントに貸している。演劇が始まる直前まで、近所の主婦が発表会を行っていたり、ちょっとした会議をしているなど何にでも貸している。また、劇場もチャリティーコンサートとして、深夜11:00?午前3:00ぐらいまでロックコンサートを催したりする。その当時イギリスのパブは11:00に店を閉めなければならなかったんですが、会員制ということにしてお酒がのめるなど、非常に開放的で、そういうことを劇場人がやってしまう。劇場を演劇のためだけと考えるのではなく、市民のためであれば、許せる限り開放するという姿勢でした。イギリスのナショナルシアターでも、ロビーは昼間、コーヒーが飲めて、本が読めて、非常に開かれている。日本ではアーラが私が知るイギリスの地域劇場に非常に近い形です。つまり、劇場が演劇・音楽・バレエ・オペラのためだけでなく、劇場に年中足を運んでくるすべての市民のためにある。そして、扉一枚向こうで公演をしている。劇場が地域に非常に近しい存在になっていることをブリストルで実体験しました。その後、ブリティシュカウンシルの助成で、バーミンガム、グラスゴー、リーズにも行きましたが、ここでも地域の劇場は市民のもの、特殊な場所でなくて、公民館に近い考え方であると実感しました。また、リーズのウェストヨークシャープレイハウスで、バックステージツアーをしてもらいましたが、地域の建築の学生と一緒に、劇場の裏の説明を受けました。劇場を建てたが、使ってみたら随分やりにくいところがあり、将来、劇場の建設に携わることになるかもしれない建築の学生にそのことを伝えていたのです。もちろん、教育とリンクした演劇ワークショップはたくさんあります。日本の問題は、劇場をどう使うか何もないままにこれまで作ってきたのが問題だと思います。それでも、使い方次第で、市民に向けて開かれたものになると考えています。




