可児市文化創造センター(Kani public arts center ala)

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集客から創客へ☆回復の時代のアーツマーケティング

第五章 戦略的アライアンスの展開―「機会」を創り出す経営。(3)

可児市民の行動調査によれば、ある熱烈なクラシック・ファンは、可児市文化創造センターのみならず、名古屋市の各文化施設、多治見市文化会館、関市文化会館などと多くの館を渡るようにクラシックのイベントに参加している。また、良いものなら分野をクロスオーバーしてチケットを購入している。「喰い合い」への心配は、劇場の側が自分の利害を先行させるための杞憂であり、私たちは飽くまでも顧客志向でなければならない。
複数の美術館がすべて入場できるチケットによってコラボレートする例は数多く見受けられる。NPO法人美術ファンクラブによる「美術館へ行こう―A Day in the Museum」は、東京国立近代美術館、国立西洋美術館、ポーラ美術館をネットワークして、コスモ石油、シャディ株式会社、三井住友海上の協賛で、毎年1月2日に無料入館日を設けるプロジェクトである。各館がコラボレートすることで各館が持っている顧客を共有して個別の美術館の新規顧客を開発すると同時に、各館の収蔵作品、企画展からくる個性に触れることで美術鑑賞の多様な楽しみを提供することができる。そのことで美術館の顧客進化を実現することが可能となる仕組みである。

他の機関との戦略的コラボレーションによる経営基盤の強化(その4)。

公共ホールにおける買い公演の共同購入による経済効率化も視野に入れるべきであろう。これは近隣施設ではなく、全国規模で構想されるべきであろう。本来的には全国公文協が、その部分での戦略的コラボレーションの媒介役を演じなければならないのだが、残念ながらそのように機能してはいない。かつては、中九州から南九州にかけての「C-WAVE」が、中小市町村の公共ホールによる「共同購入型」のコラボレーションを成立させていたが、「平成の市町村合併」を契機にネットワークからの離脱が相次いで、現在は休眠状態である、と「C-WAVE」の設立以来の事務局長である門川町総合文化会館の河野氏が語っていた。東京への文化資源の一極集中に対して、九州という遠隔地の中小市町村ホールが束になって立ち向かった「C-WAVE」であったが、政治の大きなうねりに飲み込まれる結果になってしまったようだ。
北海道の「シアターネットかんげき」は健在である。「C-WAVE」とほぼ同様の地理的環境であり、企図としても類似のミッションで現在も、年間数本の演劇公演を成立させている。近年では、海峡を飛び越えて本州の公共ホールにも事業提案をしており、そのマネジメントは成功事例といってよい。

良心的なカンパニーもあるが、劇場の経営責任者になって思うのだが、地域の公共ホールはかなり高止まった上演料の提示を受けて、それをそのまま鵜呑みにして契約をして公演費を支払っているのが現状である。むろん、公共ホール側に事情に明るいスタッフがいないという組織上、あるいは人的資源の問題もあるが、プロモーターや芸術団体の取り分を管理費として見積書に計上しているのは「良心的」な方で、およそ15%前後の利益を総経費に潜らせて「下駄をはかせた」価格提示が平然となされている。むろん、その管理費相当の経費がなくなっても、プロモーターや芸術団体側には利益が出るような予算構造になっている。彼らは、マーケットたる公共ホールを、もっと大事なパートナーと考えるべきである。この価格圧力に対抗するには、価格圧力に対する戦略的なコラボレーションを公共ホール側が組むしかない。今後は、事業費の削減は避けて通れないだろう。だからと言って、市民へのサービスの質を落とすのは、公益的な使命を持つ公共文化施設にとっても本意ではないはずだ。
また、公立文化施設と芸術団体とのコラボレーションは、劇場や稽古場や一定規模の予算を保有している施設サイドと芸術的な技術集積のある芸術団体の、その双方のコア・コンピタンスをコラボレートすることで、地域の芸術拠点化を促進し、相互の経費削減をも可能とするものである。

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