可児市文化創造センター(Kani public arts center ala)

音声読み上げ等による利用への配慮として、ナビゲーションを飛ばして本文に進みます

館長の部屋


HOME > 館長の部屋 > 連載 > 集客から創客へ☆回復の時代のアーツマーケティング:第五章 戦略的アライアンスの展開―「機会」を創り出す経営。(3)

[ここから本文]

集客から創客へ☆回復の時代のアーツマーケティング

第五章 戦略的アライアンスの展開―「機会」を創り出す経営。(3)

団体はその後で、どんな種類のコラボレーションをするのか、どの潜在的パートナーがそのニーズを満たすために役立つかを見極め、自分の団体がコラボレーターに対してどんな機会を提供できるか判断するべき。戦略的コラボレーションは、ある1つの団体の既存プログラムのギャップを埋めるというよりも、コラボレーション参加者が相互に利益を得るようデザインされなければならない。
(『Standing Room Only』)

他の機関との戦略的コラボレーションによる経営基盤の強化(その3)。

 地域文化施設の指定管理者にとって、経営資源の拡張、機会の創出、社会的評価の高度化とブランディング、様々な局面での競走優位性、社会機関としての認知などをもたらすのは、何も企業とのコラボレーションだけではない。行政や公立文化施設、芸術団体、芸術団体相互、NPOとのコラボレーションは、より直接的な効果をアウトカムする。
とりわけ当該地域の行政、近隣の公立文化施設とのコラボレーションは、これらの機関のミッション(社会的使命)が、地域社会の好ましい生活環境形成に関わり、資するものである以上、地域文化施設にとって、「ミッションの共有」という戦略的アライアンスの基本的な条件を満たし、「持続継続的な事業展開」に踏み込むことができる可能性が非常に高い。
たとえば、高齢者福祉を所管する役所の部署と公共文化施設との協働は、きわめて喫緊の社会的課題に両者の資源(コア・コンピタンス)をコラボレートして問題解決への速やかな対応を可能にする。高齢社会を迎える今日では、介護予防などで厚生労働省からの補助金が大きく膨らんでいるが、実態としては使いきれない、あるいは非効率な事業を重ねているのが現実である。高齢者福祉を所管する部署の事業に、公立文化施設のノウハウやスペース、人脈などの資源を組み合わせれば、サービスの質は飛躍的に上がるだろう。そのことによって、受益者たる高齢者同士のコミュニティ形成や生きがいづくり、居場所づくりは短期間で効果をみせることになるだろう。
可児市文化創造センターでは、館長の私が、関連する行政各課課長に書簡を送って懇談を要請して、問題意識と課題、事業構想の共有化を図っている。すくなくとも、計画行政、まちづくり、学校教育、生涯学習、障害者福祉、高齢者福祉、商工、観光などを所管する部署長、担当係長との情報交換や課題の共有は積極的に進めるべきである。行政の職員はエリア・マネジメントやパブリック・アドミニストレーションの専門家であり、実務家であり、彼らが認識している地域の社会的ニーズに公共文化施設のノウハウを対応させることは、住民にとってより良いサービスを受ける機会を担保することになるだろう。行政の縦割りの非効率性が存在するとするならば、多様な社会的ニーズに応えられる潜在力を発揮することで公共文化施設がその社会的役割を果たすことは充分に可能である。それにより、公共文化施設の社会機関としてのステータスは飛躍的に向上するだろう。
公立文化施設相互によるコラボレーションは、協働によって経済的な効率性を高め、顧客構築に寄与することになる。現在のところ情報交換や共同制作のネットワークがあるにはあるが、各館の運営に劇的な効果をもたらしているとは言い難い。出来得るならば、恒常的なコラボレーションによって、経済的のみならず、運営面での経験交流による人的配分の効率化などを成果としてアウトプットできるようにすべきではないか。

 経済的な効率化で言えば、近隣地域間ではチケットの持ち合いにとどまらず、インターネットによるチケッティング・システムのあるチケットセンター機能をいずれかの館かが持つことも構想されよう。そのことで顧客の利便性は飛躍的に向上する。私たちはサービス業であるのだから顧客の利便性にプライオリティを持たせるべきである。顧客の利便性の前では、館相互の利害は大した問題ではない。可児市文化創造センターは、すでにインターネット・チケッティング・システムを採用しており、周辺の公共ホールに対して少しずつ呼びかけをしている。互いの得意顧客の「喰い合い」を心配する向きもあるだろうが、私はむしろ近隣地域のパイを大きくするアライアンスになると考えている。
『Standing Room Only』には、1989年にフィラデルフィアで行われたマーケティング調査のデータにより、いわゆる「喰い合い」はないと証明されたことが述べられている。興味深い事例である。

1989年、フィラデルフィアの文化的観客を対象に行われた総合的マーケティング調査が、文化団体は互いに競争し合う必要はないということを論証した。一例を挙げれば、この調査によって、ジャズの観客、演劇の観客、ダンスの観客の間に相当なクロスオーバーがあるとわかったのだ。この発見を十分に利用するために、この3つのアート形式を1つにまとめた特別サブスクリプション・シリーズが企画され、結果的に3者それぞれの観客サイズが増加した。


Information


財団法人可児市文化芸術振興財団
〒509-0203 岐阜県可児市下恵土3433-139
TEL.0574-60-3311 FAX.0574-60-3312
Copyright (C) 2008 Kani City Arts Foundation. All Rights Reserved.

ロゴマーク