一方、DAN-DANチケットは舞台芸術に対する顧客の「価格弾力性」に配慮したチケッティングである。価格弾力性のない顧客とは、どのような価格でも購入する、パフォーマンスやアーチストに対して強いインセンティブを持っているお客さまで、価格弾力性があるということはある程度の価格なら購入しても良いと考えるお客さまのことである。廉価なら客席に身をおきたい、と思っている潜在顧客に対するシステムは、公演2週間前になると15%OFFになり、公演当日午前0時からはハーフプライスになる段階的なディスカウント制を設計した。ただし、アーラフレンドシップ会員がウェブで購入するときのみのサービスとなっている。
経済学では価格を下げれば需要は上がる、という基本命題があるが、実際はそうは単純ではないことは行動経済学の知見で証明されている。所得変数は大きく影響するだろうが、それ以外にも代替性の有無と代替品との交叉弾力性の影響、売出価格のアンカリング効果による利得相乗性、割引価格による不確実性の減少と期待効用拡大の合理性、尊敬や社会的評価への損失回避性などの変数が絡んで、ディスカウントによる需要曲線は必ずしも右肩上がりにはならない。当然、価格から品質を推定する顧客も存在する。実績としては、新国立劇場の『屋上庭園』と『動員挿話』の際に行ったトライアルでは、総客席稼動数の10.98%が当日ハーフプライス・チケットの利用者であった。現在では7%強から12%前後がこの制度を利用する観客・聴衆として推移している。
舞台芸術の客席は、開演と同時に「腐敗」してしまう。したがって、このチケッティング設計によって、客席一席あたりの絶対的損失を免れようという経済的な側面は否定されるものではない。スポーツ観戦には、途中から入場するトワイライト・チケットという北海道・ホワイトドームのバーゲニング・チケット制度や、東北楽天イーグルスが導入する、対戦相手、気候などによって価格を変動させるフレックス・チケット制度があるが、劇場・ホールの客席は、開演するとともに絶対的な損失となる。これを回避する目的もあるが、主たる目的は別にある。可児文化創造センターの「DAN-DANチケット」は、価格弾力性に配慮していると同時に、主たる目的は、前述したが、より多くの客席を埋めることで顧客の経験価値を高度化しようとするものである。DAN-DANチケットは、価格弾力性のある顧客に配慮しつつ、正規の価格で購入したお客さまの鑑賞体験を向上させようという二つのフェイズを充足させるためのシステムである。
舞台芸術の客席は、開演と同時に「腐敗」してしまう。したがって、このチケッティング設計によって、客席一席あたりの絶対的損失を免れようという経済的な側面は否定されるものではない。スポーツ観戦には、途中から入場するトワイライト・チケットという北海道・ホワイトドームのバーゲニング・チケット制度や、東北楽天イーグルスが導入する、対戦相手、気候などによって価格を変動させるフレックス・チケット制度があるが、劇場・ホールの客席は、開演するとともに絶対的な損失となる。これを回避する目的もあるが、主たる目的は別にある。可児文化創造センターの「DAN-DANチケット」は、価格弾力性に配慮していると同時に、主たる目的は、前述したが、より多くの客席を埋めることで顧客の経験価値を高度化しようとするものである。DAN-DANチケットは、価格弾力性のある顧客に配慮しつつ、正規の価格で購入したお客さまの鑑賞体験を向上させようという二つのフェイズを充足させるためのシステムである。




