可児市文化創造センター(Kani public arts center ala)

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集客から創客へ☆回復の時代のアーツマーケティング

第三章 経験価値マーケティングとブランディング(1)

舞台芸術産業の中核商品(コア・プロダクト)は音楽であり演劇でありダンスであるが、マネジメントとマーケティングの中核をなすのはカスタマーバリュー・デリバリー・システム(顧客価値提供システム)と考えるべき、と書いた。

マーケティングは、長いあいだ、人々の物質的福祉の向上をそのねらいとしてきました。しかし、今日では、人々の社会的・文化的福祉の改善という責任も果たさなければならないのです。大変皮肉なことには、物質的進歩の増大がかえって、様々な社会問題を生み出し、かつ悪化させてきたようです。
『ソーシャル・マーケティング 行動変革のための戦略』フィリップ・コトラーの日本語版への序文

We offer experiences,not shows.(私たちは興行ではなく、経験を提供する)
We’re about people,not art.(私たちの活動は芸術についてのではなく、人間に関するのものである)

英国芸術評議会のサーベイより

製品だけを売るな、解決策を売れ。
クラウス・レイジンガー

どんな鳥だって想像力よりは高く飛べない。
寺山修司

劇場・ホールはむろんのこと、舞台芸術そのものも、舞台の上のアーチストと客席にいる顧客が協働して新しい価値を創造する対面型のサービス業の業態に分類される。したがって、そこで生成される新しい価値が「創客」への発火点となる。「創客」とは、「共感」と「共創」という交流(コミュニケーション)によって誘発される顧客価値形成のプロセスのことである。

顧客価値は「ある刺激に反応して発生する個人的な出来事」であるが、それは単独で「自発的に生み出されるものではなく、誘発されるもの」と前述したが、往々にして私たちは、顧客の感動がその後の舞台芸術への関心を惹起して、顧客価値の創造と進化を促すようになると考えがちだ。「感動」と「共感」はともに外部からの刺激によって誘発される心の動きである。だが、未知のものに対しても「感動」できるが、「共感」は顧客自身の内部にある「既知」の記憶や感情と外からの刺激が響きあって心が揺さぶられ個的な物語が紡がれる、いわば「物語消費」であり、そのプロセスこそ私の言うところの「共創」の概念である。

「共感」と「共創」は、何かから働きかけられた結果としてではなく、何かに働きかけた結果の価値創造であることに留意したい。したがって、顧客の個的な想像力によって惹起される「共感」と「共創」は、受身の「感動」というよりも、参加というきわめて意識的で、自律的な働きかけによる能動的な消費行動であり、共同生産性に依拠した関係創造パラダイムに分類できる。「共感」と「共創」の関係性で結ばれて相対する両者は、ある種の相互依存関係という強い絆でつながりを持つことになる。「創客」のマーケティングとは、ワン・トゥ・ワン・マーケティング、あるいはリレーションシップ・マーケティングによって結ばれた相互依存によって生じる関係信頼性のことをも指すと言ってよいだろう。


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