狭隘なマーケットであり、しかも対面型のサービス提供である舞台芸術において、サービスを提供している相手が誰か不明ということは、マーケティングの観点から言えば致命的な欠陥である。そうでなくても、「誰が観ているのか」、「誰に聴かせているのか」まったく分からないという、かなり不思議な、普通ではない、にわかには信じ難いような光景が、現在、劇場・ホールでは日常的に、至極当然のように起こっているのである。そして、そのことに誰も疑問を感じていないようだ。だが、マーケティングを展開する上で、それは大きな機会ロスとなるだけでなく、結果的には経営者の当事者能力にも翳を落とすことになる。
革命的に発生した便益と利得が機会ロスを大きく上回っているあいだはそれでもよいが、コンピュータによるチケッティング・サービスの開始時期には予想すらできなかった外部環境の大きな変化が起こることで、事態はさらなる変化が求められるようになってきている。外部環境の変化の嚆矢は、WINDOWS95に続くWINDOWS98の発売である。コンピュータは誰にでも扱える、日常的な情報メディアとなった。また、顧客分析に不可欠なデータベース・ソフトやデータ・マイニング・ソフトは、SPSSでもAccessでもFile Makerでも、25000円から45000円程度で大型電化ショップで容易く入手できる。それとて別に新たなソフトウェアを入れる必要もない。Officeに同梱されている表計算ソフトExcelのピボットテーブル機能であっても、何十万件もの顧客データの解析が容易にできる。決済についても、都市銀行からゆうちょ銀行・農協・漁協まで全国のどこの金融機関、ATMでも可能なPay-easy(ペイジー)という決済機関が日本マルチペイメントネットワーク協議会により運営されている。ウェブ・チケッティングと顧客データベース構築の環境は、既にまったく新しい局面に入っているのだ。
ウェブサイトからのチケッティングを可能にするソフトは数多く開発されており、ブロードバンド回線で大容量・常時接続が低価格で導入しやすくなった2001年頃から普及し始めたASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)のシステムをリースすれば、チケッティング・サービス会社に払うマージンや印刷費、紙代の手数料総計をおよそ50%程度軽減できる。そのうえ、前述のデータベース・ソフトに顧客データや購入データを落とし込めば、設計の仕方にもよるが、どのような分析・抽出も可能になる。そのようなシステム環境が整ってきた以上、チケット・ぴあをはじめとするチケッティング・サービスという業態は、巨額の資金投下をして巨大化したシステムを持っていることが逆にマイナスに働いてしまう。容易に改良が加えられないほど巨大なシステムとなっているのだ。これらの業態は、新たなビジネスモデルにシフトしないかぎり近いうちに衰退産業化することは必定だ。
ウェブサイトからのチケッティングを可能にするソフトは数多く開発されており、ブロードバンド回線で大容量・常時接続が低価格で導入しやすくなった2001年頃から普及し始めたASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)のシステムをリースすれば、チケッティング・サービス会社に払うマージンや印刷費、紙代の手数料総計をおよそ50%程度軽減できる。そのうえ、前述のデータベース・ソフトに顧客データや購入データを落とし込めば、設計の仕方にもよるが、どのような分析・抽出も可能になる。そのようなシステム環境が整ってきた以上、チケット・ぴあをはじめとするチケッティング・サービスという業態は、巨額の資金投下をして巨大化したシステムを持っていることが逆にマイナスに働いてしまう。容易に改良が加えられないほど巨大なシステムとなっているのだ。これらの業態は、新たなビジネスモデルにシフトしないかぎり近いうちに衰退産業化することは必定だ。
芸術団体や劇場・ホールは、「失ったもの」を取り戻すために、顔の見えない、しかも漆黒の海に投網を打ち続けるようなマスマーケティングだけに頼る従来の広報宣伝の方策から、いますぐにテイク・オフすべきではないか。行き詰まり感のあるマーケティングをブレイク・スルーする機会はいましかない。あなたの前にあるコンピュータで顧客との双方向性のあるコミュニケーションを容易に構築できる時代になっているのである。この「機会」をやり過ごすべきではない。




