可児市文化創造センター(Kani public arts center ala)

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衛紀生館長のおしゃべりシアター「町が元気になる処方箋」

衛紀生館長のおしゃべりシアター「町が元気になる処方箋」(5)

非効率と思われた町が、太い絆でもっとも早く復興した

衛館長:

僕はミッションというのを昨年就任したときに掲げて、やっぱり住んでみたい、行ってみたい、住んでよかった町にするんだ。それで可児市の未来を作る、市民の未来を創造する、というのをミッションに掲げたんですけれども。やっぱりそれって誇りですよね。僕は大ボラ吹きなものですから、風呂敷ばかり広げているんですよ。この前も東京行って風呂敷広げましたけれども、いろいろ風呂敷を広げて、なるべく綺麗に広げる。そうるすと、やらなければならないから。自分を縛るんです。

ですから風呂敷を広げるんですけれども、やっぱり可児の人たちにとって、アーラが、たとえ行かなくても必要であると思ってほしい。外から来た人が新可児の駅でタクシーに乗ったときに、「お客さん、ここアーラって凄い劇場があるんだよ、行った?」って運転手さんが言うような、実は運転手さんも行ってないんだけれども(笑)。そういう「誇り」と思うようなものになってほしいと思う。

それはどういうことかと言うと、やっぱりそれは平田さんも仰っている見えない経済効果、つまり犯罪を防止するだとか、災害のためのリスクヘッジだとか。阪神淡路大震災のときにコミュニティがしっかりあって社会的弱者がコミュニティの皆に守られたのは長田って町なんですよ。軒が接していて、もう一発でやられた町だったんです。その町を、非常に非効率な町だって行政の方は見ていたんだけれども、その中に太ーい人間の絆があって、もっとも早く復興するんですよね。特に心の復興が早かったんです。

高齢者の医療費がもの凄く削減された

岩手県の東和町っていうのがあって、今は花巻市になっているけれども。ここは高齢者の生きがいづくり事業というのをやっているんですね。文化の生きがいづくりですね。そのことで実は今話題の高齢者の医療費がもの凄く削減されたんです。つまり、いつも病院に行っておしゃべりしていて、昼どきになると帰っていくというような高齢者から、こういう劇場だとかコミュニティセンターに行って何か色んなことをして仲間づくりをして、自分が必要とされているということで生きがいをつくっていく。それで、やたらに医者に行かなくなった。

心が非常に元気になることによって、高齢者の医療費が削減された。これも文化の力です。だから文化の予算については削減は逆行だと思います。僕はこういう時代だからこそ文化だと思うんです。つまり人間の関係がギスギスしたり、心がザラザラしたりしているからこそ文化なんだと。バブルでみんながお金持ちであるときは文化なんかどうでもいい。みんな勝手に行くんですよ。3万円とか5万円出してもベルリンフィルを聴きに行くとか、それでいいんです。だけど、今はこういう時代だからこそ劇場が必要であり、この時代だからこそ美術館が必要であるというような「逆転の発想」をすべきかもしれません、従来の日本の考え方からすると。「逆転の発想」にシフトしないと、もう危ないよというのが、率直なところですね。

こういう仕組みでも実は医療費は削減できる

西川氏:

後期高齢者医療制度は、厚生省の役人が月に25日も病院に行くのは駄目だからってつくったんですよね。今の話よく聞いていたら、考え方変わったかもしれないよね。行く場所がないわけだよね、お年寄りは。だから病院に行くんでしょ。

衛館長:

他者と関わる場所がないんですよ、多分ね。だから厚生労働省が劇場に補助金を出すだとかね(笑)。生きがいづくり事業をおやりなさいとかね、それは10分の10、つまり全額補助するというようなことだよね。こういう仕組みでも実は医療費は削減できる。発想は先ほどの警官を使って取り締まるのと同じですよ。医者に行かせないようにする、では駄目なんだ。それよりも生きようとする力を、生への意欲を作り出す機会を厚生行政は考えるべきです。福祉的文化行政です。

またあの人と出会えるから劇場に行ってみようと、劇場で自分が必要とされて帰ってくる。これは高齢者だけではなくて、子供たちも同じだと思うんですよ。孤立しない子供たちをつくるためにも必要だし、大人でも孤立しない大人をつくる社会的必要がある。

そのために劇場というのがあって、「芸術文化」という衣は着ているんだけれども、やっぱり劇場は「人間の家」であるべきだと思う。いろんな人間を包み込んで、いろんな人間に出会ってもらって、生きがいだとか、喜びだとか、新しい価値を見出してもらえる場所でアーラはありたいなと思っているわけですよね。


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