連載 館長 vs 局長	「公共劇場」へ舵を切る その理念と経営の実際

第六十九回 “アーラ”周辺をおしゃれな空間に

可児市文化創造センターala 事務局長 山口和己

このたび、可児市では今後3年間の観光戦略を示す「可児市観光グランドデザイン本編」を策定し、7つの地域資源を重点的に整備するとともに、積極的にPRしていく方針を示しました。( http://www.city.kani.lg.jp/11102.htm )
この7つの地域資源とは、「美濃桃山陶の聖地」、「戦国城跡巡り」、「木曽川左岸・鳩吹山周辺 癒しの空間」、「可児駅前にぎわい空間」、「花フェスタ記念公園」、「ゴルフツーリズム」、そして「アーラエリア」です。
市としては、この重点整備、PRを実施することで、4つの重点方針「高齢者のいきがい、健康づくり」、「子育て世代の安心づくり」、「地域の元気づくり」、「安心、安全づくり」に繋げていくというものです。

この「アーラ」は、これまでにもご紹介してきたとおり、公演やイベント以外にも多くの人で賑わう本市を代表する施設です。質の高い芸術・文化に触れ、日頃の活動を発表する場であるとともに、多くの人が日常的に集い交流する、まさに私たちが目指す「人間の家」とも言える施設です。

それでは、市は、この「アーラエリア」を今後どのように整備し、どのようなエリアにしようとしているのか、デザイン構想を見て行きたいと思います。
まず、戦略の1つ目は、市と指定管理者、つまりは我々(公財)可児市文化芸術振興財団との連携です。これは当然のことかと思います。アーラにおいて、質の高い演劇や音楽の公演や市民参加型の公演を開催し、先進的な経営によって全国に魅力を発信し、一方で「人間の家」として、日常的に人が集う空間を創出するというもので、これは我々財団が目指している方向に向かって、より一層努力を重ねていくことにほかなりません。戦略の2つ目は、民間事業所との協働により質の高いおしゃれな空間を創出することで、若者を中心に市外からも多くの人が集い、交流する人気スポットにすることのようです。

2つ目の戦略においては、施設整備が必要となってきます。このアーラと最寄りの名鉄日本ライン今渡駅との間には歩いて10分程の道のりがあり、この導線を照明施設の整備等により充実させることを考えています。確かにこれまで電車を利用してお越しいただいた方々には、その道中、味気のなさを感じられた方も見えたかもしれません。さらに、アーラ周辺のエリアに民間事業所に働きかけて、若者が集まりやすいカフェ等を誘致することも並行して進めていくようです。ただし、この2つ目の戦略は、3年後の平成30年を目途として進めていく計画のようで、具体的なものは未だ見えてきてはおりません。
平成27年度のアーラフレンドシップ会員が10,674人で、そのうち29歳以下の構成比が4.8%ということを考えると、若者が集まりやすい空間を創出することは、市全体がターゲットとする想いとも一致して、アーラにとっても理に適っている戦略だと思います。
ちなみに同じくアーラフレンドシップ会員の地域別集計表を見ると、市内4,229人、市を除く岐阜県内3,834人、愛知県1,836人、岐阜県愛知県以外705人となっており、市外からも多くの人に訪れていただいており、さらにその数が増えるエリアにしたいものです。

この機会に他の6つの地域資源についても確認し、可児市のデザイン構想について少しだけPRしたいと思います。
「美濃桃山陶の聖地」:可児市は国宝“卯花墻”に代表されるように、安土桃山時代に志野、黄瀬戸、瀬戸黒、織部といった斬新な焼物が世に生み出された地であり、人間国宝 故荒川豊蔵氏に続く多くの陶芸家が作陶に励んでおります。 旧荒川豊蔵邸及びその周辺、荒川豊蔵記念館・可児郷土歴史館等の整備や企画展の充実等を進めていこうというものです。
「戦国城跡巡り」:可児市は、その地理的条件によって、戦国時代に数多くの城が築かれ、その城跡が残っています。国指定の史跡「美濃金山城跡」をはじめ、久々利城跡、大森城跡、今城跡、土田城跡など9ヶ所もの城跡が存在し、これらを活かした観光をアピールし、交流人口の増加を図っていこうとするものです。
「木曽川左岸・鳩吹山周辺 癒しの空間」:市の西部には、標高313.5メートルの鳩吹山がそびえ、その麓に沿って木曽川が流れ、飛騨木曾川国定公園に指定された日本ラインの景観が広がっています。この地域では安らぎと癒しを体験できます。このスポットと「木曽川左岸遊歩道」や整備予定の「土田渡多目的広場」とを結んでさらに魅力アップを目指していこうとしています。自然に癒され、水辺で遊べる空間を演出し、ひいては定住人口の増加に繋げたいものです。
「可児駅前にぎわい空間」:乳幼児や母親、父親、子供や高齢者、あらゆる世代が出会い、交流する。そんな施設を平成29年度までに建設します。(仮称)可児駅前“子育て・健康・にぎわい空間”。可児市の中心から、この施設を核にして可児市民の元気を発信していきたいと考えています。
「花フェスタ記念公園」:市の東部に位置する岐阜県の広域公園で、7千品種、3万株のバラを植栽した世界一のバラ園を備え、県内外から多くの方が訪れています。岐阜県が保有し、指定管理者が管理運営を行なっています。四季を通じて愛でることのできるこの公園を他の観光資源と結んで、市の観光交流の東の入り口として位置付けていこうとするものです。
「ゴルフツーリズム」:可児市内には8箇所のゴルフ施設があり、年間50万人を超えるゴルファーの皆さんにご利用をいただいております。健康づくりを推進する施設として、また、アジアの富裕層を視野にインバウンドにおいて高いポテンシャルを備えているとも考えられます。

可児市は、これまで地域の歴史や文化、自然を活かした観光的視点でのアピールに少し消極的であったかもしれません。市民も地元の地域資源の価値を過小評価、あるいは知ることさえもなかった状況であったのではないでしょうか。ただ、私自身思うことですが、50年以上、今いる場所に住んできましたが、不便さを感じることはなかったと思います。むしろ住みやすかったと、今改めて思っています。 可児市のことを全く知られない方たちにも、本当に住みやすい“まち”ですよ!と自信を持って言えます。
少子化による人口減少の傾向の中、可児市では、交流人口を増やし、定住人口を減少させない、むしろ増やす方向で、「住み心地一番・可児」を目指して各種施策を展開しています。

この“アーラ”に関しても、市民の多くが待ち望んでやっと完成したのが14年前のことですが、このアーラでどのような制作がなされ、どのような催しが行なわれ、そしてどのように評価されているのかも知らない市民は未だに相当数おられることと思います。PRが全てではないのでしょうが、常に情報発信に努めなければならないと考えます。また、何よりも私たちは、常に前を向いて積極的に事業に取り組み、市民の皆さんに有意なものを提供し、その評価を受けながらまた前へ進むという地道な努力を継続していくよう、自身に言い聞かせなければならないと感じています。










 

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