連載 館長 vs 局長	「公共劇場」へ舵を切る その理念と経営の実際

第五十五回 2015年度予算を考える その2

可児市文化創造センターala 事務局長 山本和美

公益財団法人可児市文化芸術振興財団(財団)の2015年度事業計画と収支予算が確定しました。2月にはいって理事会の決議を経て評議員会の承認をいただいて最終的に決定しました。先回に途中経過を報告していましたが、指定管理料の1千万円の復活要求は結局認められず、2014年度と同額となりました。2014年度には、これも前回に報告していますが、これまでもらえていた補助金500万円が採択されなかったので、新年度収支予算ではその補助金を見込んでいません。こうした経常収益減が確定したことや、収支均衡をめざして国税の節税をするという命題も加わったので、来年度は、500万円ほどの赤字収支予算を編成しました。公益法人会計は、予算を重視する官公庁の会計とは違って基本的には企業会計をベースとしていますので、決算主義ということになります。この赤字予算の成果は決算をみてみないとわかりませんが、2015年度は収支均衡を目指すとともに節税方法をさらに検討していきたいと思います。
 
新年度の事業計画と収支予算が決定するとその内容を行政庁へ報告することになります。公益財団法人という立場から「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に基づき監督行政庁である岐阜県に新年度が始まるまえ3月31日までに報告します。もう一つは、地方自治法第243条の3の規定に基づき可児市が出資する法人という立場と可児市文化創造センターalaの指定管理者という立場で可児市に報告します。財団から出す報告をもとに市長は、前出地方自治法の規定に基づき経営状況説明書を作成して議会に提出することになります。一昨年までは、6月議会に前年度事業報告・決算と当年度事業計画・収支予算の報告書を提出していましたが、昨年の検討の結果、今年からは、27年3月議会に次年度事業計画・予算(2015年度)、27年9月議会に前年度(2014年度)事業報告・決算を提出することになりました。市から出資を受けている他の公益・一般財団についても同様です。事業計画・収支予算については、事業年度の開始前までに議会に提出することが適当であるという地方自治法当該規定の解釈もあることから3月議会初日に提出することにしたようです。(別の解釈もあるようですが・・・)

財団の事務方としては、3月議会の議員への議案資料配布日(2月20日前後)に間に合うよう予算・事業計画の確定手続きを進めることは、例年のスケジュールより1週間ぐらい前倒しという形で進めるということになります。これは、はっきり言ってぎりぎりの線であると考えています。これ以上議会日程が前倒しになれば対応が難しくなります。財団予算の約75%が市からの指定管理料で賄われていますが、2015年度予算でいうと指定管理料が可児市一般会計予算案に4億5千万円または4億6千万円どちらで盛り込まれるか最終決定したのは1月の下旬でした。その決定をうけて財団の予算案が最終的に決まります。前出のとおりそこから理事会をへて評議員会の承認となるわけですので厳しいスケジュールとなります。なお、この事務処理についての財団内部の規定は、定款第7条に「毎事業年度開始の日の前日までに、理事長が作成し、理事会の決議を経て、評議員会の承認を受けなければならない。」と定められています。法律についても同様です。

個人的には、もう一つ3月議会初日に報告することについてのもどかしさがあります。法律的に問題があるというものではありませんが・・・。一般会計当初予算案は、議会の議決を得て初めて有効になります。議決を得る前に財団は、一般会計予算案に盛り込まれている指定管理料を経常収益として2015年度の事業計画と収支予算を決定しましたという報告を議会にするという構図がどうもしっくりいかない気がします。あくまで公益財団法人が意思決定したという報告ではありますが・・・・。当然一般会計予算案が否決されるようなことがあると財団の事業計画・収支予算は根底から見直しを迫られることになります。そんなこともあって3月議会最終日に報告書を提出することができると一番すっきりした形になるのかなと思っています。市議会も3月議会は新年度予算の審議や条例案など多くの案件があるので、最終日に受け取って休会中に常任委員会で所管事項調査として審査したほうがいいのではと考えてしまいます。そうしてもらえると財団としては余裕をもって事務処理ができるのかなと希望的観測を持っています。

事業報告・決算についての事務の流れについては第47回にも書いたことがありますが、これについても6月議会から9月議会へと変更になりました。新たに公益財団法人に切り替わった時点で民法上の財団法人と比較して手続き的により時間を要することになったので、6月議会の当初(議案資料配布日)にすべての手続きを済ませることが難しくなったためです。切り替わった当初は、評議員会での最終承認を得る前に議会に報告する形や前例踏襲の手続きで済ませるなど市内各公益・一般財団とも6月議会への報告を至上命令のように考えてしまっていました。法律的には6月末までにそれぞれの一般・公益財団の決算手続きを完了すればよいことになっていますので、今回の変更は妥当であると考えます。議会への報告についてここまでこだわるのは可児市だけのことかもしれません。可児市の場合は、この経営状況報告の議会説明を各公益・一般財団の担当者が所管常任委員会に出席して行います。議会から参考人として出席するよう要請書が届くのです。私も他市の財団がどういう手続きをしているか聞いてみましたが、印象としては比較的軽く考えてみえるかなという状況でした。報告時期もばらばらで6月、9月、12月の議会に報告するところがありました。6月議会へ報告するところは議会に了解してもらったうえで最終承認を得る前のものを提出しているとのことでした。また、議会への説明はそれぞれの市の一般・公益財団法人所管の担当課が説明するということでした。それぞれの市のやり方があるようです。財団としては、税金を使って運営されている以上厳正な手続きに則って事務処理していくことは当然のことですので、今回の変更について最大限の努力をして対応していきたいと考えています。

財団の次年度の事業計画と収支予算が確定したので、2月後半からは来年度事業に対する広報やブロッーシャーの作成とアーラフレンドシップ会員への送付、3月からはチケットの先行発売を始めることになります。先行発売は、すでにご承知の方も多いと思いますが、「まとめて買うと20%off」をキャッチコピーに複数の公演をセットにしたパッケージチケットとしての発売となります。2015年度事業についても次の5種類のパッケージチケットを発売します。「ウェルカムホーム」3月14日、「まるごとクラシック」3月15日、「演劇まるかじり」3月21日、「かに寄席」3月22日、「アラカルト」3月29日発売です。パッケージチケットは当初アーラのインフォメーションのみ販売していました。そのため、発売日には早朝から長蛇の列ができて、朝から並んでも購入できたのはお昼をすぎていたというような事態が続いたようです。そうした状況を改善するために、昨年からパッケージチケットについてもインターネットで予約できるようにしました。その結果として、発売日に直接購入するために窓口に並ぶ人は劇的に少なくなったということです。財団にとってもお客様にとっても相当のメリットがあったようですが、私がアーラに来てよく聞いたのが、「早くから並んでもいい席がちっとも取れない。インターネットで予約する人がどんどんいい席を取ってしまうから。何とかしてくださいよ」というご意見です。比較的ご高齢の方が多いようです。ネット環境が家にない方、パソコンを使えない方だろうなと想像できます。すべての人が満足できるシステムを作るということは相当難しいです。先ほどの意見をお持ちの方は「インターネット販売と窓口販売に時間差をつけてほしい。」ということを言われます。しかし、この要望を受け入れてしまうと、一昨年までと同様に長蛇の列がまたできてしまう可能性が高いので、簡単には変更できません。財団としてもインターネットでの予約方法がわからない方には事前にお教えしますのでよろしくお願いします。まだまだインターネット環境のないかたは大勢おみえになると思いますので、いい方法がないか知恵を絞りだしていきたいと思います。






 

このページの上部へ