第四十七回 平成25年度決算について/可児市文化創造センター

連載 館長 vs 局長	「公共劇場」へ舵を切る その理念と経営の実際

第四十七回 平成25年度決算について

可児市文化創造センターala 事務局長 山本和美

5月になって、アーラ(財団)の自主事業も本格的に動き出しました。まず、5月10日に東日本大震災復興支援「祈りのコンサート」がありました。今年でもう4回目になります。年々参加者が減少していましたが、今年は、昨年より100名ほど多く参加していただけました。私たちは決して忘れないという意思表示を今後も続けていきます。来年度からは、その気持ちをより強くするために震災のあった当日3月11日に開催する計画を進めています。

5月11日には「音楽の絵本」、恒例のコンサートで6年連続の開催ですが、人気が高く毎回満員御礼が続いています。アーラでは数少ない乳幼児から楽しんでいただけるクラシックコンサートです。当日は、動物たちの管楽器によるファンファーレを合図に開場しました。子どもたちに大人気です。公演終了後の写真撮影会には長蛇の列ができていました。
 
翌週16日、17日には東京ヴォードヴィルショー「その場しのぎの男たち」の公演がありました。チケットは早々に2日とも完売でした。今回初めての試みとして、見切れ席(席の位置関係で舞台の一部が見えない席)の一部を当日券として半額で販売しました。見切れ席であることを断ったうえでの発売でしたが、当日9時から数分のうちに完売してしまいました。16日にあったアフタートークでもその日のお客様の半数以上が残って参加されていたのではないかと思えるほど多くの参加がありました。東京ヴォードヴィルショーの人気はすごかったです。可児ではこれまでで一番の人気かもしれないとのことでした。そのほか5月には、いろいろなワークショップやアウトリーチ事業がはじまりました。

各事業が、本格的に動き出したなかで、総務担当のほうでは、昨年度、平成25年度の事業報告・決算のまとめが淡々と進められています。市役所へ入庁以来予算決算は、公会計簿記というか単式簿記で単純明快なものでしたが、公益財団法人の会計は、公益法人会計基準に基づく複式簿記です。複式簿記は初めてなので、理解に苦しんでいるところですが、細部のことはさておき、主要な数字をご紹介するとともに、事業報告や決算がどういう手続きで承認され公表されていくかについてもご紹介したいと思います。
 
まず決算の数字ですが、経常収益合計は、6億2531万5330円でした。平成24年度対比で630万円ほどの増額でした。経常収益のなかで最も大きな収入があるのは事業収益で5億6097万円程です。その主なものは、入場料収入約4612万円、利用料金収入約3460万円、そして可児市からの指定管理料が4億6000万円でした。入場料収入は、財団が主催する各事業(演劇、コンサート、映画等)の入場料収入の総額です。また、利用料金収入は、アーラの劇場、各ロフト、レセプションホールなどの各部屋を市民の皆さんが使用されたときに納入していただく利用料金です。いわゆる貸館使用料の総額です。指定管理料は、財団が可児市から可児市文化創造センターの指定管理者として5年間指定を受けていて、その管理料として毎年支払いを受けているものです。その他に経常収益として大きいものは、受取補助金等です。総額で約6077万円ありました。文化庁、岐阜県や一般財団法人地域創造などから、それぞれのアーラ主催事業に対して交付を受けた補助金の合計です。
 
収入に対して次は支出です。経常費用合計は5億9707万6811円でした。経常費用は、大きく事業費と管理費に分けます。そのなかでの中科目はどちらも同じ設定です。両者の中科目合計で一番大きいのは、委託費です。約2億7823万円支出しています。その次が、給料手当で約1億3870万円の支出です。そして年間の光熱水費が約5075万円です。委託費は、建物の清掃、機器の点検、警備、インフォメーション・受付等の管理運営に係る委託費と各主催事業ごとの委託費の合計額になります。
 
以上、決算額の大まかな数字を紹介しました。本当におおざっぱですが可児市と財団が締結した可児市文化創造センター管理運営に関する基本協定書で規定する、可児市文化創造センターという建物を維持管理する業務、文化芸術事業の企画や実施及び市民の文化芸術活動の支援に関する業務、貸館に関する業務等を実施するためにこれだけの費用がかかっているということになります。

この金額の多寡ついてはいろいろな議論のあるとこですが、財団はアーラを通して市民の皆さんが良質な文化に触れることができるよう、また地域に根付いた劇場として市のまちづくりに貢献できるよう取り組みを続けていきます。
 
次に事業報告や決算がどういう手順で承認されていくかについて簡単に説明します。まず年度末3月31日現在で総務担当が決算関係書類を5月上旬目途に作成します。そして5月上旬から中旬を目途に監事に決算関係書類の監査を受け、監査報告を作成してもらいます。監査終了後、5月下旬を目途に理事会を開催して決算関係書類の承認をもらうとともに、評議員会開催の決議をしてもらいます。理事会終了後2週間以上の期間をあけて評議員会を開催します。評議員会で決算関係書類の承認をもらって初めて決算書類が完成したことになります。その後6月末までに、岐阜県や可児市へ報告するとともにホームページで貸借対照表等を公表します。市からは、市議会へもその内容が報告されます。とても煩雑な流れですが、多くの予算を公益財団法人として使っていますので、厳正にチェックしてもらう必要があります。
 
この流れは、平成23年6月の公益財団法人への移行後に一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づいて実施しているものです。移行前の民法に基づいた財団法人の時の流れと一部が大きく変わってきています。移行直後からこの流れ通りにできればよかったのですが、前例から完全に抜け出すのに少し時間がかかりました。監事の監査、理事会・評議員会の開催等、決算や予算の事務は、比較的地味な部分ではありますが、財団運営にとって最も基本的で重要な部分ですので、今後もしっかり運営していきたいと考えています。
 
また決算関連の数字に戻ります。年間の利用料収入について紹介しましたが、アーラの劇場や各部屋は財団の自主事業実施や可児市の公的事業実施に使われるとともに市民の皆さんが自ら使用申し込みをして利用されます。こうして利用される各部屋の使用頻度を稼働率といいます。施設稼動率の算出にはいくつかの方法がありますが、一般的な統計などでよく使われている数値は「日数単位」の稼働率です。1日を単位とし、利用時間区分のうち、1回でも利用があれば稼働日としてカウントします。1日に2回利用があっても、1日でカウントします。稼働率=稼働日の合計数÷[365日-(休館日+メンテナンス休館日)]×100となります。劇場、各部屋の平成25年度の稼働率がそれぞれ計算されています。全体の平均稼働率は、84.7%でした。主劇場は72.5%、小劇場は73.5%です。一番稼働率が高かったのは演劇練習室で98.7%でした。逆に一番低かったのは映像シアターの37.9%でした。
 
稼働率に関しては、アーラはオープン以来相当高い数字を残しています。オープンした平成14年度は、現在と同条件で計算してみると全体で70.5%の稼働率でした。その後開館3年目の平成16年度から80%台の中後半を推移してきています。ある意味で、すでに飽和状態に近いところに来ているのかもしれません。利用者の方からなかなか部屋の予約が取れないというお話を伺うことがあります。特に数日間の連続使用となる展示会・展覧会はギャラリーを中心として利用が難しくなっているようです。アーラは集客力があるので多くの方に見ていただける、利用申し込みは難しいが、やっぱりアーラでないとだめという利用者の方が多いようです。痛し痒しといったところです。稼働率についても日数単位だけでなく使用区分単位(午前、午後、夜の区分や時間単位)での細かい稼働率も算出して利用実態をより正確に把握し、一般の方の利用について利用形態等を今後見直していく必要があるかもしれません。
 
決算の一部について紹介しましたが、私自身まだすべてをつかみ切れていないので、なかなかうまくお伝えすることができません。単年度だけでみてもその中身が良くなっているのか悪くなっているのか判断できないこともあります。数年間の数字を分析することで新たにわかってくることもあります。いろいろ研究してまたご報告したいと思います。

このページの上部へ